【 もくじ 】
概要
- 2007年10月に長江上流金沙江に建設中の2つのダムを見学した。
- 向家ダム(シャンジャバー)と、渓落度ダム(シュルドゥー)。
- 有名な三峡ダムは長江河口の上海から直線で約660kmの位置にあるが、そこからさらに直線で約1,000km上流に重力ダムとアーチダムが建設中。実際に見たが目を疑う規模の大きさに圧倒された。
ダム諸元
向家ダム | 渓落度ダム | |
ダム形式 | 重力 | アーチ |
堤高(m) | 162 | 278 |
堤頂長(m) | 909 | 698 |
提体積(㎥) | 1、221万 | 558万 |
2ダムの比較
宮ケ瀬ダム | 黒部ダム | |
堤高(m) | 重力 | 200万 |
提体積(㎥) | アーチ | 158万 |
日本の主なダムの諸元
- 提体積で比較すると、アーチダムでは渓落度ダムが黒部ダムの約3倍、重力では向家ダムが宮ケ瀬ダムの約6倍以上となる。
- 圧倒的な大きさだ。
長江
- 長江は総延長6,300kmで世界第3位、河床平均勾配0.08%しかも、金沙江と岷江が合流する地点から下流では0.004%と日本では想像できないくらい緩やか。(100m進んで4mmしか落差がない、ほとんどレベルだ)
金沙江
- 総延長1,637km、落差4,420m、平均河床勾配0.2%という。
- 成都市(チェンドゥー)からバスで約8時間の移動だったが、その間深い渓谷に見える地層の模様は全く変化しなかった。どこまで行ってもほぼ水平な砂岩の地層に100m以上谷が浸食された景観である。
- とにかく日本では絶対に見ることができない光景だ。
向家ダム(シャンジャバー)
- 水富市(スイフー)に建設。半川締切りで、左岸締切り内の河床掘削とケーソン沈埋工、法面工が施工中。


向家ダムの技術的特徴
- 右岸の地下発電所は地下空洞体積が約百万立方m世界最大規模の向家ダム。
- 停滞コンクリート骨材を60km離れた場所から採取し、ベルコン輸送して谷地を利用してストックしていた。(映画の特撮でも見ているかのように大規模だった。)
- 一様な砂岩の岩盤であり空間としても安定しているとのこと。
- 土留めらしいものはほとんど無いに等しい。

- 巨大な施設に圧倒され夢を見ているような感覚。
渓落度ダム(シュルドゥー)
- 向家ダムの規模に圧倒された後さらに上流の渓落度ダムを見学。
- ここはまたさらに驚くのは、提体積がアーチで558万㎥というその規模大きさ。
- 提体基礎掘削がほぼ終了しており、これから仮締切り・河床掘削に移ろうとしている段階。左岸・右岸両方に地下発電所を計画。
おわりに
2020年7月現在は日本も中国も活発な梅雨前線活動が続き、大雨による被害が甚大である。武漢市が長江の氾濫により浸水した様子などが報道されている。
三峡ダムの他向家ダムや渓落度ダムの発電用ダムやその他にも建設されたダムがその目的を越えて治水に運用され、被害が小さく収まることをお祈り致します。